特に注意すべきポイント
- 日本政策金融公庫で紹介されている記入例はあくまでも記入例です。
- 空白はダメ!すべての項目を「埋める」ようにしましょう。
- 表現はできるだけ具体的に!抽象的な表現は避けるようにしましょう。
各項目別の注意点
それでは日本政策金融公庫の「ソフトウェア開発業の記入例」を参考に、項目別に注意すべき点をみていきましょう。
<日本政策金融公庫 創業計画書記入例>
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei05_171010g.pdf
1:創業の動機
「なぜ、この事業をやりたいのか?」「なぜ、この事業なのか?」ということを相手に伝わるように記入することが重要です。
また、今までの経験や見込客、他にはない独自性など成功する可能性が感じられるような動機を書くのがポイントです。
記入例にあるように「経験を生かしたい」というのも重要な動機です。
しかし、それだけにとどまらずソフト開発で「○○○に困っている人を助けたい」「○○○に貢献したい」のように社会性や公共性を意識して書くとさらによいでしょう。
2:経営者の略歴等
記入例のような書き方よりも、もっともっとアピールできることはありませんか?
身に付けたスキルやノウハウもなども記入して、「自分にはこの事業を成功させる経歴がある」ということをアピールすべきです。
もしこのスペースに書ききれない場合は、別紙に職務経歴書を作成して提出しましょう。
また月収や退職金については、自己資金との整合性をチェックされる場合もあります。
3:取扱い商品・サービス
まず各欄をしっかりと埋めることが大切です。
専門用語などはできるだけ使わずに、業界を知らない人でもどんな商品・サービスか具体的にイメージできるようにするのがポイントです。
セールスポイントは競合他社や従来商品との違いをアピールするとよいでしょう。
また既に顧客がも込める場合にはそれも記載するとよいです。
もしどう書いてよいか悩んだら、切り口を明確にして考えてみましょう。
例えば「ヒト、モノ、カネ」や「製品、価格、チャネル、販売促進、立地」などの面から考えるとアイディアも浮かびやすくなります。
マーケティングミックスの4P
製品 Product |
製品の中には商品などの物理的なものばかりではなく、サービスやアイディアも含むと考えられます。まず自社製品の核は何かということについて顧客視点で考えてみましょう。「顧客が本当に欲しいものは何か?」について考えると、ヒントも見えてきます。 |
価格 Price |
商品やサービスなどの価格のことです。競合との関係性やコスト志向の高い顧客への対応などに大きく影響します。 |
販売チャネル Place |
取引先や物流のことです。顧客にどうやって商品を届けるか、商圏はどこにするかなどについて検討します。例えば開放的に取引をするのか、選択的なのか、専売的なのかによって行なうべきビジネスも違ってくるでしょう。 |
販売促進 Promotion |
広告やPR活動、セールス、キャンペーンなどの販売促進活動を指します。 |
4Pを切り口に考えてみよう!
この4Pを切り口に考えてみましょう。
各項目について個別に考えるだけでなく、整合性がとれていることも重要になります。
・製品を切り口として
オリジナル製品である○○を中心に販売する。
・価格を切り口として
付加価値をプラスすることで高めの価格設定とする。
・販売チャネル
販売代理店を募集し販売する。
・販売促進
インターネットで広告展開し集客を図る。
4:取引先・取引関係など
小さな枠ですが具体的な企業名や関係性なども含めて、できるだけ具体的に書くことが重要です。
販売先欄に具体的に企業名を記入することが難しい場合は、どんな顧客を想定しているのか「ターゲット」を具体的に記入します。
もし書ききれない場合は「顧客開拓進捗表」「販売先一覧表」「仕入先一覧表」「外注先一覧表」などの書類を作成して提出しましょう。
5:従業員
事業内容や事業規模(売上予測)などと比較して、「適切な従業員数か?」という点などについてチェックされます。
また従業員数と「8:事業の見通し」の人件費とは整合性がとれていることが大切です。
6:お借入の状況
借入がある場合はなかなか書きにくいものですが、調べられれば分かってしまうことですので、正直にすべて記入することが大切です。
もし借り入れがあっても、住宅ローン、車のローン、教育ローンなど常識範囲のものであれば、大きな支障にはならないでしょう。
日本政策金融公庫の記入例にも「使途:住宅、残高:2544万円、年間返済額:132万円」「使途:車、残高:76万円、年間返済額:24万円」などと記載されています。
また、返済額についても損益計画に反映せることが重要です。
7:必要な資金と調達方法
「必要な資金と調達の方法」については、計算があっているかどうかキチンとチェックしましょう。
日本政策金融公庫の記入例も「必要な資金」と「調達の方法」の合計額が一致しています。
- 設備資金について
見積もり表が必要になりますので、業者から見積もりを取っておきましょう。
見積価格が適正なものであるかどうかを判断するための相見積りを取っておくことも大切です。
また開業時に必要な設備費については一覧にしておくとよいでしょう。 - 運転資金について
記入例では「外注費:270万円」「諸経費:590万円」となっています。
ここで重要になってくるのが、仕事をして入金されるまでの期間を考慮することです。
運転資金については、3カ月程度は考慮してもらえる場合もありますので、きちんと確認されることをお勧めします。
また運転資金についても、できるだけ明細書や見積書を提出するとよいでしょう。
具体的な資金繰り表なども提出するとさらによいです。 - 調達の方法
ここでは自己資金の中身を調査されます。通帳を隅々までチェックされると思ってください。
毎月の支払いなどが遅れていないかなども確認されますので、通帳を見て生活の様子が判断されます。
記入例の場合、「合計額:1550万円」「自己資金:550万円」となっており、自己資金の割合は35%です。
自己資金が少ないと返済額が経営を圧迫することになりますので、1/3以上の自己資金は確保したいものです。
8:事業の見通し
各欄の数字を埋めるにあたっては日本政策金融公庫の「小企業の経営指標」を参考にするとよいでしょう。
日本政策金融公庫の「小企業の経営指標」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/sme_findings2.html
業界特性のFL比率などを意識することも必要です。
エクセルを使って損益計算書を作成します。
最低1年、できれば3年分(年度別、月別)を作成しましょう。
3年分の場合なら最低でも4枚のシートとなります。
売上の内訳は細かく別シートに作成してもかまいません。
- 売上高
基本的には「件数×単価」です。日本政策金融公庫の「売上高の計算方法について」を参考にするとよいでしょう。
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei08_121115.pdf - 売上原価
まず自身の経験を元に算出しましょう。公庫の経営指標や業界の平均数値も参考に、現実的な数字を算出することが大切です。 - 経費
まず自身の経験を元に算出しましょう。公庫の経営指標や業界の平均数値も参考に、現実的な数字を算出することが大切です。インターネットで専門家のHPを参考にするのもよいでしょう。 - 利益
創業当初から無理に黒字にする必要はありません。現実的な数字を算出しましょう。個人事業主の場合には、利益に本人の人件費が含まれますので、「給与」「返済」「納税」も考慮して算出することが重要です。 - 資金繰り表
必要に応じて具体的な資金繰り表なども作成しましょう。