出資による資金調達

代表的な出資による資金調達は、債券や株式などの有価証券を発行することで、資金を直接投資家から調達する方法です。

これを担う金融機関は証券会社です。
証券会社は企業と投資家の間に入り、仲介することを基本業務としています。

投資育成株式会社を利用した資金調達

出資による資金調達

「出資による資金調達」を検討するなら、まずは「中小企業投資育成株式会社(通称“投育社”)」に打診してみるのも一案です。

投資社とは、中小企業の自己資本の充実とその健全な成長発展を支援するため、1963年に「中小企業投資育成株式会社法」に基づき設立された政策実施機関です。

もともと政府出資によって作られた機関で、中小・ベンチャー企業の「育成」を一つの目的としていることもあり、必ずしも「株式公開」が求められるではありません。

また、投資先は必ずしも高度な技術をもったベンチャー企業ばかりではありません。

そのため中小・ベンチャー企業が「出資」を検討する場合、民間ベンチャーキャピタルばかりでなく、「投育社」も同時に検討するのがおすすめです。

投資育成株式会社の選定基準

「中小企業投資育成株式会社事業に関する規則」より(抜粋)
(新株の引受けの相手方の選定の基準等)

第9条 新株の引受けの相手方の選定の基準は、次のとおりとする。
(1)相手方の事業が成長発展する見込みがあること
(2)相手方が経営基盤の強化等の努力を行っていると認められること

2.前項の選定を行うにあたって、次の項目の審査を行うものとする。
(1)経営者、経営管理層のマネジメント能力
(2)設備、技術の優位性・独自性
(3)事業の特長、競争優位性及び成長性
(4)営業・販売力
(5)財務の健全性
(6)収益力及び事業計画の実現可能性
(7)その他当該企業の審査に関して必要な事項

 

民間のベンチャーキャピタルについて

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業等に対し、新株発行やワラント債・転換社債等の発行の引受けにより資金提供を行う投資会社(投資集団)のことです。

通常、ベンチャーキャピタルによる投資は、金融機関や機関投資家などから運用委託された資金を基に組成した投資事業組合(ファンド)を通じて行われます。

中小事業者でも出資を受けることができる?

中小企業が、いきなり大手のベンチャーキャピタルにお願いしてもやはり出資は難しいでしょう。

ただし将来性の高いベンチャー企業であれば小企業であっても出資するベンチャーキャピタルもあります。

ベンチャーキャピタルから出資を考えるのなら、そういうベンチャーキャピタルを探しみましょう。

たとえば、地域によっては地元の自治体や企業が出資をして 「地元中小企業を支援するファンド」のようなものがありますので、そこを当たってみるのもおすすめです。

個人投資家(エンジェル)から出資を受ける方法も!

簡単なことではありませんが、事業の可能性や事業に対する熱意をアピールして個人投資家から出資を受ける方法もあります。

 

社債発行という手法も!

社債発行というと、大企業のためのものと思われがちですが、零細・中小・ベンチャー企業であっても社債発行を行うことができます。
それが「少人数私募債」です。

少人数私募債とは

「少人数私募債」とは、会社の規模に関係なく、社債の発行人数が50人未満であって、株式会社であれば取締役会の決議だけで発行することができる社債のことです。

少人数私募債のメリット

少人数私募債のメリットととしては、大きく次の3つが挙げられます。

  1. 借入金の社債への振替
    社長や役員からの借入を社債勘定に振り替えることができます。社債利息は20%の源泉分離課税です。貸付金利息は雑所得ゆえに20%を超える税率になる可能性が大きいといえます。
  2. 資本政策上の問題
    出資を受け入れることで資本政策上、経営権の問題がを把握できます。
  3. 従業員の福利厚生策
    低い銀行金利に対して少人数私募債利率は約2~5%、従業員の福利厚生にも役立てることが可能です。

少人数私募債の制約

原則として、社債権者は社長一族、役員や従業員、取引先等の縁故者に限定しなければなりません。
そのため別名「縁故債」とも呼ばれることもあります。

また、社債権者に銀行や証券会社等の金融のプロを入れてはいけません。
そのため、証券会社が社債の購入者を探してくれるわけではありませんので、自分で社債を購入してくれる人を探す必要があります。

支払い利息については金銭ではなく、物品等で支払いことも可能です。
パン会社が利息をパンで支払ったというような実例もあります。

 

 

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